無縁墓の増加が社会的な問題として認識されるようになりました。特に、地方においてはその速度が早く、霊園の半分が無縁墓になっているところも。墓石倒壊の危険性や環境の悪化による周囲への影響だけでなく、意図せず「心のよりどころ」が無く無くなってしまうことにも繋がりかねません。今からお墓について考えてみませんか。
放置には期限あり
無縁墓とは、継承者がいなくなってしまった状態のお墓のことです。寺院墓や霊園で無縁墓になった場合、一定期間を経たのちに、お墓は撤去され、ご遺骨は合祀墓などに移されます。少子高齢化や核家族化、仏教やご供養、お墓参りに対する考え方の変化から、全国の墓地で増えています。皆様も、放置され荒れ果てたお墓や、縁故者を探す看板が建てられたお墓をご覧になったことがあるのではないでしょうか。
年会費や維持管理費の支払いがされず、無縁墓の可能性が高まると、通常1年間、看板を立てたり官報に記載したりして縁故者や血縁者を探します。それでも誰も名乗り出なかった場合、お墓の中からお骨が取り出され、墓地の合祀墓や自治体の無縁仏供養塔などに納骨されます。
国も実態調査
国もようやく実態調査に乗り出しました。
総務省行政評価局が行った調査によると、公営墓地がある全国の市町村765のうち、58.2%にあたる445の自治体で無縁墓が発生していると答えました。「墓石やブロック塀の倒壊のリスク」や「木々が生い茂ることによる環境の悪化」などが弊害として挙げられています。NHKの報道によると、香川県高松市の「姥ヶ池東墓地」では、全体の43.6%に当たる2700区画が「無縁化」しています。法律では撤去した墓石の保管や処分方法が決まっていないため、その対応にも苦慮しています。こうした中、「墓じまい」に対して補助金を交付する自治体も出てきました。先進的な取り組みで有名なのは、群馬県太田市と千葉県市川市、浦安市などです。無縁墓の増加は今後、全国で加速度的に進むとみられ、行政の支援体制充実も求められます。
自分は、家族はどうするか
無縁墓は社会的な課題であると同時に、家族的、個人的な問題でもあります。一番気をつけたいのは、「お墓のことを何とかしなければ」と思いながら、具体的な行動に踏み出す前に、本人が急に亡くなってしまう場合です。人生は何があるかわかりません。意図せずにご先祖様へ申し訳ないことになってしまっては、後悔してもしきれません。実際、あみりとにご相談される方が、「無縁墓にしないためにも、今のうちに何とかしたい」「子どもたちがお墓を継ぐのは無理。だからこそ私たちの手で墓じまい/改葬をしたい」という思いを吐露する姿を何度も見てきました。
今からできること
先祖代々のお墓を無縁墓にしない方法はいくつかあります。一つが「改葬」です。これはいわばお墓の引っ越しで、地方のお寺のお墓を墓じまいし、今住む場所の近くの一般墓(先祖代々のお墓)を建てて、お骨を移すというものです。「遠方だから」という理由でお墓に悩みを解消できます。ただ、従来の法事などお寺との付き合いとその費用が発生するため、継承する予定の子どもたちとよく話し合い、理解を得ることが大切です。
もう一つは「樹木葬/永代供養墓」です。霊園だけでなく、寺院墓地でも人気のタイプのお墓で、その理由は檀家になる必要がないため法事やその他の宗教儀式がなく、いつでもお参りできるので次世代に負担をかけないためです。多くの永代供養墓では、三十三回忌で合祀墓に移され、その後も永代にわたって供養されます。
もう一つは「墓じまい」です。今あるお墓をたたみ、ご先祖様のお骨を海洋散骨したり、一部を手元供養したり、アクセサリーなどの装飾品にして身につけるなど、現在では様々な選択肢が登場しています。墓じまいのメリットは、お墓の心配や負担がなくなることと、自分たちらしい身近で持続可能なご供養ができる点が挙げられます。
専門家のサポート活用を
お墓の問題は、社会的な要因や家族の関係性などが密接に関わっていますが、最終的には自分が動かなければ、何も始まりません。どうしても先送りにしがちな事柄ですが、改葬や墓じまいをされた方は一様に「長年の肩の荷が降りた」と晴れやかな表情で語ります。専門的な知識が必要にもなるので、一人で抱え込まずにプロのサポートを活用してください。佛遠堂あみりとでは、いつでもご相談を受け付けています。
佛縁堂あみりと
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