「相続は自分には関係ない話?」いざという時に慌てないためにも知っておきたい基本知識
増加する相続税の対象者
「自分には大した財産がないから、相続税は関係ない」と考える人は少なくありません。このような意見は、「相続税は富裕層だけに関係する税金で、一般的な家庭には無縁だ」との思い込みによるものでしょう。
しかし、2015年に相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことで、相続税の対象者は大幅に増えています。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっており、以前よりも多くの家庭が相続税の課税対象となる可能性が高まっています。油断せず、事前の対策を考えることが重要です。
借金がある場合の誤解
「住宅ローンが多く残っているから、その分は財産から差し引かれるだろう」と考える方もいるかもしれません。しかし、ほとんどの住宅ローンには団体信用生命保険が付帯しており、借主の死亡時にはローンが完済されます。そのため、この場合、債務控除は適用されません。
自宅が相続財産の場合
相続財産が自宅のみの場合、一見すると相続税がかからないケースもありますが、遺産分割では別の問題が生じることがあります。特に、現金や預貯金といった流動資産が少ない場合、法定相続分に基づいて分割することが困難になるためです。自宅を分割することは難しいため、相続人の間で調整が必要になるケースが多いのです。
配偶者居住権の活用
2020年4月に「配偶者居住権」が創設されました。これにより、配偶者が土地や建物を取得しなくても、生涯にわたり自宅に住み続ける権利が認められるようになりました。この権利は評価額が低く、配偶者が居住権を取得しても、他の相続財産である預貯金などの流動資産を多めに確保できるため、老後の生活が安定しやすくなります。
例えば、配偶者と子供たちとの関係が良くない場合には、遺言で配偶者居住権を指定することをお勧めします。これにより、配偶者が安心して生活を続けられる環境を整えることができます。
流動性の確保の必要性
「大した財産がない」と感じていても、相続が発生した際に分割が難航する可能性があります。このような場合には、生命保険に加入したり、一部の資産を売却したりして、現金などの流動性を高めておくことが重要です。適切な準備を進めることで、遺族がスムーズに相続手続きを進められるようにしておきましょう。
次項以降では相続の基本的な知識をおさらいします。
相続方法の決定について
相続が発生した際には、被相続人の財産を調査し、プラスの財産(資産)やマイナスの財産(負債)を確認したうえで、相続をするかしないかを決定する必要があります。この選択を「相続方法の決定」といいます。
相続方法は、大きく以下の3つに分類されます:
- 単純承認(すべての財産を相続する)
- 相続放棄(財産を一切相続しない)
- 限定承認(一部のみ相続する)
なお、相続放棄や限定承認を選択する際には、家庭裁判所への手続きが必要となり、非常に慎重な対応が求められます。まずは十分にご確認ください。
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単純承認
単純承認とは、被相続人の財産および負債をすべて無条件・無制限に引き継ぐ方法です。
相続開始を知った日から**3ヶ月以内(熟慮期間)**に相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合、自動的に単純承認とみなされます。また、以下の場合も単純承認と見なされるため注意が必要です:
- 相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合
- 相続開始を知ってから3ヶ月以内に放棄または限定承認をしなかった場合
- 限定承認や放棄を行った後でも、相続財産を隠匿したり、不正に消費した場合
これらのケースでは、相続の意思にかかわらず、自動的に単純承認となります。慎重に相続方法を検討してください。
相続放棄
相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことを選択する法的な手続きです。この方法には主に以下の2つの意味があります:
- 例えば、兄弟間の相続で弟が兄にすべての財産を譲る場合、遺産分割協議書にその旨を記載して事実上の相続放棄を行うケース。
- 負債が多い場合に、相続そのものを法律的に放棄するケース(この場合、家庭裁判所に申述が必要)。
相続放棄の対象は、基本的にすべての相続財産が含まれます:
- プラスの財産(不動産、現金、株式、自動車など)
- マイナスの財産(借金、住宅ローン、損害賠償請求権など)
プラスよりもマイナスが大きい場合や、受け取りたい財産がない場合は、相続放棄を検討するのがよいでしょう。
申請期限
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。この期間は、財産や負債を調査するために設けられています。調査結果をもとに、相続するか否かを決定してください。
限定承認
限定承認とは、被相続人の財産のうち、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続し、それ以上の負債は相続しない方法です。
例えば、負債が多い場合でも、どうしても相続したい財産がある場合や、個人商店など複雑な財産を相続する際に選ばれることがあります。
条件
限定承認を行うには、以下の条件を満たす必要があります:
- 相続人が相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てること。
- 複数の相続人がいる場合、全員の同意が必要であること。
なお、3ヶ月を過ぎた場合、原則として「単純承認」と見なされます。ただし、特定の条件下では相続放棄が認められる場合もあるため、不安がある場合は専門家に相談してください。
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