「おりん」は、仏教において読経時に音を鳴らし、音程やリズムを整えるために用いられるものです。お寺では音色に合わせてお経を読み始めることが多いとされています。 一般的には仏様にお線香を供え、手を合わせる際の合図として使用されることが多いです。また、その澄んだ音色は空間を清め、邪気を払うともいわれています。さらに、おりんの音に供養や祈りを乗せて、極楽浄土へ届けるという意味も込められています。
音色の高さはそのサイズに大きく関係します。サイズが大きいほど低音、小さいほど高音になります。例えば、除夜の鐘のような大きな梵鐘が低い音を響かせるのと同じ原理です。サイズは「寸」という単位で表され、1寸は約3センチで、おりんの直径を指します。音の伸びは、種類や構造によって大きく異なります。特に音の伸びを重視する場合、りん布団に乗せるタイプはあまりおすすめできません。これは、おりんとりん布団が接触する部分が多く、音が吸収されてしまうためです。
おりんの材質は一般的に真鍮(銅と亜鉛20%の合金)が使用されていますが、音色の伸びを極めたい場合は、「佐波理(さはり)」という高級材質の「おりん」を選ぶと良いでしょう。佐波理は、銅と錫(すず)の合金で、錫の含有量が多いほど音色が良くなるとされています。ただし、錫を多く配合しすぎると製造過程で割れてしまうため、最適な配合が施された佐波理の「おりん」は特に音色が優れています。
毎日使用するおりんは、お気に入りの音色のものを選ぶことをおすすめします。また、すでにお持ちの場合は、柔らかい布で時折拭いてあげるだけで、美しさを長く保つことができます。おりんは、仏壇のイメージとして「チーン」という音を象徴する存在です。心に響く音色の「おりん」を見つけていただければ幸いです。