仏具とは、仏教の宗教儀式で用いられる道具を指します。本来は僧侶が使用する宗教用具でしたが、お仏壇の普及に伴い、一般家庭でも仏様を供養するために用いられるようになりました。
四十九日を迎えると、故人への供養はお仏壇へのお参りに移行します。ご自宅にお仏壇がない場合は、四十九日法要の前にお仏壇と仏具一式を用意しておく必要があります。仏具を選ぶ際は、長く使用できるよう耐久性を重視するか、お仏壇の雰囲気に合ったデザインを選ぶなど、それぞれの家庭の考えに応じた選び方が可能です。お仏壇でのお参りに欠かせない基本的な仏具として以下のものがあります。
・三具足(みつぐそく):花立・香炉・火立の3つで構成されます。これらは仏壇の基本的な供養道具であり、花立と火立を対で揃えた場合は「五具足(ごぐそく)」と呼ばれます。
・おりん:お参りの際に鳴らし、心を落ち着かせる役割を持ちます。
・仏飯器:仏様にお供えするご飯を入れる器です。
・湯のみ:お茶などをお供えするための器です。
仏具の配置と並べ方
仏具を飾る際は最上段にご本尊(中央)と脇仏(両脇)を安置。その下の段にお位牌を配置。最下段に三具足を配置。
三具足は一般的に、中央に香炉、右側に火立、左側に花立を並べます。ただし、宗派によって細かな違いがある場合もありますが、ご本尊を中心として配置するのが基本的な考え方です。
現代の事情に応じた工夫
近年では、お仏壇のサイズや家庭のスペースの制約から、すべての仏具を揃えることが難しいケースもあります。その場合、「お線香をあげたい」「ご飯を供えたい」など、どのような供養を行いたいかを考慮して必要な仏具を選ぶとよいでしょう。また、仏具のデザインや色に厳密な決まりはない場合が多いため、お仏壇の雰囲気や個人の好みに合わせて自由に選ぶことができます。ただし、浄土真宗の場合は、宗派専用の仏具を使用することが基本です。
後飾り壇で使用する仮仏具
葬儀の際に葬儀社から提供される仏具は、四十九日法要まで後飾り壇で使用する仮の仏具です。これらは主に白や青みがかった陶器製のものが多く、四十九日を過ぎた後は後飾り壇と一緒に処分するのが一般的です。
仏具は仏様への供養を支える重要な道具です。長く大切に使えるものを選び、日々の供養を心を込めて行いましょう。